建設分野での特定技能の在留資格について、建設技能人材機構(JAC)の人材紹介を初めて利用する事例が出た。外国人建設就労者として日本に在留していたベトナム人からの申し出に基づき、JACが特定技能としての受け入れを希望する正会員・賛助会員を紹介。雇い入れを決めた企業は、国際建設技能振興機構(FITS)の事前巡回指導を初めて活用し、受け入れ計画の申請手続きや雇用契約などのサポートも受けている。
JACは、無料職業紹介事業の許可を受け、技能評価試験の合格者、試験免除者(技能実習修了者、外国人建設就労者)への就職先のあっせんや転職支援など、人材紹介の役割を担っている。
今回、JACの人材紹介を受けたのは、外国人建設就労者として日本で就労していたベトナム人(型枠工)。
外国人建設就労者は、技能評価試験を経ずに特定技能への移行が可能。この外国人建設就労者は特定技能への移行を希望したものの、雇用する建設企業は雇い入れを希望しなかった。
外国人建設就労者本人からの相談を受け、JACは正会員と賛助会員への人材紹介を実施。雇い入れを希望した2社が面接した結果、関東にある1社が雇い入れを決めた。
この受け入れ企業は、FITSが受け入れ企業に無償で行っている「適正契約締結サポート(事前巡回指導)」も初めて利用した。受け入れ企業・外国人間で結ぶ雇用契約書や受け入れ計画の作成などの支援を受けた。この外国人建設就労者は母国に一時帰国しており、国交省の受け入れ計画と入国審査の手続きが済みしだい、特定技能外国人として再入国する。
現在、特定技能外国人の受け入れは、技能実習生や外国人建設就労者の在留資格からの移行に限られており、技能実習生らを受け入れていない企業が特定技能外国人を受け入れるのは、実質的に難しい。国土交通省では、今回の事例について「今後の受け入れのモデルケースにもなる」(建設市場整備課労働資材対策室)との期待感を示している。
提供:建通新聞社