国土交通省は、公共工事標準請負契約約款の改正を受け、直轄工事の工事請負契約書を改正した。工事代金債権の譲渡を制限する債権譲渡特約を設ける一方、改正民法の趣旨を踏まえ、対象工事に充当する資金が不足することを条件に債権譲渡を認める規定を追加した。改正建設業法にならって「著しく短い工期の禁止」を規定した。10月1日の改正法施行を待たず、4月1日から適用する。
中央建設業審議会は、建設工事標準請負契約約款を改正し、昨年12月23日に公共工事の発注者などに改正約款を使用するよう、実施勧告した。国交省はこの勧告を踏まえ、直轄工事で使用する工事請負契約書を17日に改正し、各地方整備局などに4月1日以降の契約に使用するよう指示した。
改正民法では、契約書に譲渡制限特約があっても、債権譲渡の効力は妨げられないとされたが、標準契約約款では、工事完成への意欲が失われるなどとして譲渡制限特約を維持。直轄工事の契約書でもこの考え方を踏襲したものの、前払金や部分払いでも対象工事の施工に資金が不足し、発注者の承諾を得た場合に限り、工事代金債権の譲渡を認める。
工事の品質や内容に契約不適合があった場合、発注者が受注者に対し、目的物の修補・履行の追完に加え、代金減額請求ができるようにした。契約不適合責任の担保期間は、引き渡し後2年以内(設備機器は1年以内)と定めた。引き渡し後2年以内に通知すれば、通知後1年は請求を可能にする猶予期間も設けた。
改正建設業法に盛り込まれた「著しく短い工期の禁止」も契約書に反映。工期延長や工期短縮を行う際、労働時間や労働条件が適正に確保された日数を考慮することを発注者に求める。改正法が施行される10月1日を待たず、4月1日から前倒しで適用する。さらに、10月1日からは「工事を施工しない日」と「工事を施工しない時間帯」を契約書に記載するよう求める。
提供:建通新聞社