国土交通省が3月に行った調査で、2018年夏から続いていた高力ボルト不足が収束しつつあることが分かった。高力ボルトの注文から納品までの期間は、昨年10月時点で全国平均4・7〜6・5カ月となっていたものの、今回は2・5〜3・9カ月に大幅に短縮。重複発注などを防ぐ「発注様式」の活用が業界内で進んでおり、国交省はこのことが需給の安定化につながったとみている。
高力ボルトは、18年夏ごろから供給の遅れが目立ち始め、国交省が19年3月に行った調査では、通常1・5カ月の納期が最長で7・8カ月に長期化している実態が明らかになった。
ただ、国交省がメーカーにヒアリングを行ったところ、生産量と需要量に大きな変化はみられなかった。同省は需給が徐々にひっ迫する中で重複発注、先行発注、水増し発注が繰り返されたことが高力ボルト不足を助長したと分析。不確定要素の高い発注を避けるため、昨年5月に業界統一の発注様式を作成、流通業者(商社、問屋、特約店)にこの様式の活用を要請した。
3月2〜6日に高力ボルトの需要側・供給側307社に行った調査によると、納期は全国平均で2・5〜3・9カ月に短縮。地域別でみても、全地域で納期が1・5〜3・0カ月短縮する結果が出ている。
流通業者が発注様式に記載する、高力ボルトの必要な時期・数量を示していると回答した需要側(建設業者)は全体の66%。流通業者は全体の69%、ボルトメーカーは全3社が発注様式を活用していることを確認。需要側が時期・量を適正に伝えることで、需給が安定化する効果が出ている。
国交省は、納期の長期化が収束に向かっているものの、依然として混乱前の水準(1・5カ月程度)までは改善していないため、17日、関係する建設業団体9団体に発注様式の活用をはじめとする対策の徹底を改めて要請した。
提供:建通新聞社