国土交通省は3月10日、公共事業の土木設計、測量、地質調査などに適用する「公共土木設計業務等標準委託契約約款」を改正した。4月1日の改正民法の施行に合わせ、譲渡制限特約、契約不適合責任、契約解除などの規定を見直した。また、改正品確法で調査・設計業務の「適正な履行期間の設定」が発注者の責務に追加されたことを受け、契約変更時に業務従事者の労働時間を適正に確保することを盛り込んだ。
改正民法の施行をめぐっては、すでに昨年12月に中央建設業審議会が建設工事標準請負契約約款(公共、民間甲・乙、下請け)を改正し、各発注者に実施勧告を行った。国交省は改正した土木設計業務の標準約款を踏まえ、公共事業の発注機関325機関にも10日に標準約款の活用を要請した。直轄事業の契約書は3月中に改正し、標準約款の改正内容を反映する。
改正民法関連では、譲渡制限特約を維持するが、受注者が前払金・部分払いを受けても資金が不足する場合には業務委託料債権の譲渡を認める。特約に違反した場合は、発注者が無催告で契約を解除できるようにする。
「瑕疵(かし)担保責任」に代わる「契約不適合責任」の期間は、発注者が引き渡しを受けた日から「原則2年」か「原則3年」のいずれかを選択する。
改正品確法に調査・設計が正式に位置付けられたことを受け、適正な履行期間の設定を発注者に求める。発注者が契約変更を行う場合、業務従事者の労働時間と労働条件を適正に確保できるよう、履行期間を定めることを求めている。
この他、改正意匠法で建築物・土木構造物の外観・内装のデザインが保護対象に追加されたことを受け、土木構造物の意匠登録や意匠権の譲渡に関する規定などを設けた。
提供:建通新聞社