政府は10日、建築物などの解体等工事における石綿の飛散防止対策の強化を目的とする「大気汚染防止法(大防法)の一部を改正する法律案」を閣議決定した。改正案の主な柱は▽石綿含有建材の規制対象の拡大▽事前調査の信頼性の確保▽罰則規定(直接罰)の創設▽不適切な作業の防止―の4本。今通常国会会期中の成立を図り、本法は公布の日から起算して1年内に施行。事前調査結果の報告については、公布の日から2年内に施行する。
特定建築材料(質量が0・1%超の石綿を含む石綿含有建材)の規制対象については、石綿含有成形板などを含む全ての石綿含有建材に拡大。解体等工事の元請業者に対しては、一定規模以上の建築物などの解体等工事を行う際に、石綿含有建材の有無にかかわらず、事前調査の結果を都道府県知事に報告することを義務付ける。事前調査結果の都道府県への報告には、原則として環境省と厚生労働省が共同で運用する電子システムを活用してもらう。
事前調査の方法についても一定の知見を有する者による書面・現地調査などの方法などを環境省令(大防法施行令)で定める。このため同省は、事前調査を行う一定の知見を有する者を、3年程度で30万人〜40万人程度育成する考えだ。
今回の法改正では罰則規定も設ける。
事前調査の結果を都道府県知事に報告しなかった者に対する直接罰を設けるとともに、隔離などの措置を取らずに吹付け石綿等の除去作業を行うなど、環境省令で定める作業基準(飛散性が低いレベル3は除外)を順守しない者に対する直接罰も創設する。特定粉じん排出等作業の作業基準適合命令の対象となる者には、下請負人も加える。
特定工事の元請け業者には、石綿含有建材の除去等作業の結果の発注者への報告、作業に関する記録の作成・保存を義務付ける。
この他、都道府県などによる立ち入り検査対象の拡大や、災害時などに備え、建築物所有者などによる石綿含有建材の使用の有無の把握後押しするための「国・地方公共団体の責務」の創設などに関する規定についても整備。環境大臣、都道府県知事による報告徴収の対象には下請負人を、立ち入り検査の対象には解体等工事の元請け業者、自主施工者または下請負人の営業所などの事業場を加える。
提供:建通新聞社