国土交通省は、直轄工事の総合評価方式に事前審査を導入し、落札者決定までの手続き期間を短縮する。入札に参加する企業と配置予定技術者の実績、施工計画などを評価する施工能力評価型で、通常は工事ごとに実施する競争参加資格審査と企業評価に事前審査を導入。その後の一定期間内に公告する工事の総合評価にこの審査結果を活用し、配置予定技術者と施工計画の評価だけで落札者を決定できるようにする。
総合評価の手続きを簡略化し、直轄工事での入札不調・不落の発生を防止、施工体制を確保する。
施工能力評価型では、「企業の能力等」の評価項目として▽過去15年間の同種工事実績▽同じ工種区分の2年間の平均成績▽表彰実績(同じ工種区分の過去2年間の工事)―があり、入札参加者は工事ごとに資料提出が求められる。
しかし、同じ工種区分で評価の対象期間が定まっていれば、これら企業の実績数値が大きく変化することはない。
このため、国交省は事前に競争参加資格審査と企業評価を行い、対象期間内に発注する工事の入札時に資料提出を求めない仕組みを検討している。事前審査を通過した企業には事前に企業評価点を通知し、登録番号を割り振る。
事前に審査した企業評価点を総合評価に活用する工事は、年間の発注予定件数が多い工種・地区から選び、入札公告時に事前審査の対象であることを明記する。対象工事の入札参加者は事前に通知された登録番号、配置予定技術者に関する資料、施工計画などを提出。競争参加資格審査と企業評価が省略されるため、落札決定までの手続き期間を短縮できる。
さらに、将来的には配置予定技術者に関する資料提出を不要とすることも検討する。国交省は、技術者の工事・業務実績(コリンズ、テクリス)、監理技術者情報、土木施工管理技士情報、継続教育履歴、民間資格情報を連携させた「技術者情報ネットワーク」の構築を検討している。
ネットワークが構築されれば、発注者は技術者情報を直接入手できるため、入札参加者が技術者関連の資料を提出する必要がなくなる。
提供:建通新聞社