国土交通省は2月21日、社会資本整備審議会道路分科会の基本政策部会を開き、中長期的な道路政策のビジョン案を提示した。ビジョン案は、20年後の道路の将来像を示し、その将来像の実現に近づける道路行政のデジタル化、ビッグデータの利活用、新技術の開発・活用などに取り組むべきと提言。維持修繕・更新費の増加を踏まえ、受益と負担の考え方に沿った道路整備の財源確保を検討することも求めた。
ビジョンは、「2040年、道路の景色が変わる〜人々の幸せにつながる道路」と題し、20年後の道路の将来像と道路政策の方向性を提言したもの。国交省は、ビジョンで示した将来像を念頭に置きながら施策立案や制度改正の指針にする。
ビジョンの柱の一つとして、国土の脆弱(ぜいじゃく)性とインフラ老朽化の克服を打ち出した。災害や気候変動から生命・財産を守る道路とするため、幹線道路ネットワークの耐災害性能の強化、無電柱化、道の駅の防災拠点化を推進するとした。
新技術の導入で道路の維持管理も高度化する。具体的には、人工知能(AI)、計測モニタリング技術、点検箇所を減らした道路構造などの採用により、道路の点検・診断を自動化するとした。
また、誰もが自由に移動できる社会を構築する方向性も示され、国土・地域の骨格となる幹線道路に自動運転車専用レーンを整備したり、道の駅を自動運転サービスの拠点とするなどとした。MaaS(モビリティ・アズ・サービス)に対応した交通拠点の整備や道路ネットワーク再編などによって経済活力を生み出すとしている。
提供:建通新聞社