国土交通省が行った建設業退職金共済の運用状況に関するアンケート調査で、購入した全ての証紙を下請けに交付していると回答した許可業者は公共工事で64%にとどまった。下請けから就労実績報告が「ほとんどない(1割以下)」と回答した元請けが14%に上っており、国交省はこのことが証紙交付が徹底されない要因の一つになっているとみている。
この調査は、昨年11〜12月に無作為で抽出した許可業者を対象に行ったもので、有効回答数は5471者。国交省は、建退共の証紙が技能者に行き渡らず、余った証紙がインターネット上やチケットショップで流通している現状を問題視しており、今回初めて運用状況を調査した。
調査に回答した許可業者のうち、建退共に加入していたのは全体の72・5%。未加入の理由には「自社独自の退職金制度がある」が24・3%、「他の退職金共済制度に加入している」が46・0%、「いずれの退職金共済制度にも加入していない、または退職金制度がない」が29・8%だった。
建退共に加入している元請けに就労実績報告の受け取りの有無を聞くと、全ての下請けから報告があると回答した元請けは公共工事で65%だった。民間工事では「ほとんど報告なし(1割以下)」と回答した元請けが58%と半数以上を占めている。
提供:建通新聞社