国土交通省は2月18日の有識者会議に、品確法の発注者の責務とされた適正な工期設定に向け「直轄土木工事における適正な工期設定指針案」を示した。直轄工事で率先して適正工期を設定するため、入札公告時に発注者が想定している工程を明示する他、実動日数以外の「準備期間」「後片付け期間」「雨休率」「休日」「作業不能日数」を定量的に特記仕様書に記載するとした。工程と実際の工期が異なった場合、受発注者の変更協議を円滑にする効果が期待できる。
学識経験者や建設業団体の代表者らを集めた「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」の「建設生産・管理システム部会」を18日に開き、指針案について意見を交わした。
指針は、建設業に時間外労働の上限規制が適用される2024年4月を見据え、各地方整備局が直轄工事の工期を設定する際に考慮すべき項目を盛り込む。
指針案では、契約締結から工事完了期限までの「全体工期」だけでなく、特記仕様書に▽準備期間▽後片付け期間▽雨休率▽休日▽その他の作業不能日―といった実働日数以外の項目を盛り込むと明記。特記仕様書には、発注者が工事ごとに想定する項目別の日数を明記する。雨休率は気象庁データから過去5年の平均発生日数を算出し、地域ごとに設定する。
各工程の日数の算出は、数量と日当たり施工量から標準的な工期を自動算出できる「工期設定支援システム」を活用。工事工程表も入札公告時に明らかにし、発注者が想定する工程ごとのパーティ数も受注者に明示する。
工事の発注段階で発注者が想定する工程を見える化することで、これまで受注者にとって不確定要素となっていた作業不能日数などが明らかになる。各工程と実際の工期が異なっても、すぐに契約変更とはならないが、受注者に責任のない理由で事前に明示された日数をオーバーした場合、変更協議を行いやすくなる。
国交省は3月中に指針を最終決定し、各地方整備局に通知する。港湾・空港工事を除く直轄土木工事に適用する。
提供:建通新聞社