国土交通省が社会資本整備審議会に設置した「マンション政策小委員会」は2月10日、マンション管理の適正化と建て替えの円滑化に向けた提言をまとめた。居住者の高齢化と老朽化ストックの増加を見据え、マンション管理への行政関与の強化、敷地売却制度の対象拡充などを求めている。
今回の提言を受け、国交省はマンション管理適正化法とマンション建て替え円滑化法の一括改正案をまとめる。3月上旬に閣議決定し、開会中の通常国会での成立を目指す。
全国のマンションストックは、2018年度末時点で655万戸に上り、このうち築40年を超えるマンションは81万戸ある。今後も老朽化したマンションが加速度的に増加することが見込まれ、提言では、管理の適正化と再生の円滑化に向けた施策を講じる必要性を指摘している。
その上で、当面取り組むべき施策として、地方自治体が区域内の管理組合に指導・助言するなど、マンション管理に能動的に関与すべきと強調。マンションの大規模修繕の段階では、工事の発注方法の周知、修繕工事に関する情報提供、相談体制の強化などを通じ、設計・工事の適正化を図ることも求めた。
マンション再生の円滑化に向けては、耐震性が不足するマンションを対象としている敷地売却制度を見直し、外壁の剥離などで居住者・近隣住民に危険が生じるマンションを対象に追加べきと提言。団地型マンションの再生を促進するため、区分所有者の全員合意がなくても敷地分割を可能とする仕組みを構築することも求めた。
提供:建通新聞社