国土交通省は、直轄工事の元請け企業に対し、労災補償に必要な任意の保険契約を義務付ける。2020年度の土木工事積算基準の改定で現場管理費率を引き上げ、直轄工事の予定価格に任意保険の加入費を上乗せしたことに伴う措置。発注者が保険料を負担することに伴い、入札説明書で受注者に任意保険の加入を求める。
損害保険会社などが販売する労災補償に必要な任意保険は、建設現場で労働災害が発生して労災保険を給付される際、契約者に上乗せで給付金を支払うもの。現在、全国の建設会社の7割程度が加入しているという。
改正品確法では、労災発生時の補償に必要の任意保険の保険料を予定価格に反映することを、新たに発注者の責務に位置付けた。災害時の応急復旧で2次災害に遭っても、国家公務員らは公的補償を受けられるが、建設業従事者を補償する規定はなく、改正品確法の制定時に全国建設業協会(近藤晴貞会長)などが対応を求めていた。
国交省は今回の法改正を踏まえ、全工種で現場管理費率を引き上げ、予定価格に任意保険の保険料を上乗せした。今回の見直しにより、直接工事費2億円の工事では、現場管理費率が0・1ポイント上昇し、予定価格に約30万円を上乗せすることになる。発注者が保険料を負担することに合わせ、直轄工事では入札説明書で任意保険への加入を要件化する。
提供:建通新聞社