自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟(品確議連)は1月20日、品確法改正に伴う「発注関係事務の運用に関する指針(運用指針)」の改正案を了承した。頻発する自然災害からの迅速な復旧を実現するため、発注者に災害時の緊急対応の強化を新たに求める他、測量・調査・設計でも適正な発注関係事務の実施を求めた。改正案は来週30日に関係省庁が申し合わせを行って最終決定し、2020年度から運用を開始する。
昨年10月31日〜12月2日に発注者・建設業団体から提出された意見1497件を反映し、国交省が改正案をまとめた。
昨年10月の台風19号をはじめ、激甚化した自然災害による被害が頻発する中、発注者に災害時の入札契約手続きを迅速化・円滑化する措置を求める。緊急度の高い災害復旧に随意契約を適用するとともに、被害状況を正確に把握できない災害復旧では、概算数量で発注した上で契約変更で対応するよう求める。
建設業団体と発注者には、費用負担や訓練の実施などを定めた災害協定を締結することを要請。災害発生後の入札不調・不落を抑制するため、地域全体で施工確保対策を講じることも求める。市場の変化に的確に対応するため、復興係数や復興歩掛を設定することも促す。
改正法で「調査・設計の品質確保」が発注者の責務と位置付けられたことを受け、▽適正な履行期間の設定▽履行期間の平準化▽適切な設計変更―といった、工事と同様の措置を発注者に求める。多様な入札契約方式として、プロポーザル方式やコンペ方式も指針に位置付け、受注者の技術競争を促す。
施工時期の平準化に向けては、地域ブロック単位で発注見通しを統合すると記載。繰り越し明許・債務負担の活用、入札公告の前倒しなども求める。適正な工期を設定するため、実工期を柔軟に設定できる余裕期間制度も活用する。
工事と調査・設計業務の情報の集約化と可視化を図るため、BIM/CIMや3次元データを積極的に活用するとも明記。ウエアラブルカメラを活用して検査の省力化も図る。オンライン電子納品の導入に努め、納品データにクラウド上で簡易にアクセスできる環境を構築する。
関係省庁は、30日の連絡会議で運用指針の改正を申し合わせる。3月中に指針の解説資料をまとめた上で、4月以降、受発注者に改正した運用指針の周知・徹底を図る。
提供:建通新聞社