経済産業省は、2019年の台風15号で長期間の停電が千葉県を中心に発生したことを踏まえ、電力ネットワークの強靱化を柱とした対策をまとめた。1970年代に投資された送電設備の多くで老朽化が進行し、建て替えや大規模修繕の必要性が高まっていることを踏まえ、全ての送配電事業者に設備の更新計画の策定を求める制度を検討。原資となる託送料金制度の改革と合わせ、事業者に機動的な設備投資を促していく。
台風15号の停電に関するワーキンググループで、復旧対応の検証結果としてまとめた。電力網の強靱化に向けた施策ではこの他、無電柱化の推進や社会的に重要な施設への自家発電設備の導入促進を盛り込んだ。鉄塔の技術基準の見直しや、建物地下に設置された電気設備の浸水被害対応などを検討していく。
経産省はこの他、台風などの災害が発生した際の対応として、被害状況を早期に把握するためのシステムを開発する方針を打ち出した。電力事業者が協調し復旧活動を行う義務の法定化▽林野庁などとの倒木対策での連携▽電力の復旧手法・設備仕様の統一化―なども盛り込んだ。
[東電も強靱化で対応方針]
一連の議論を踏まえ、東京電力も強靱化対策の方針をまとめた。費用対効果を踏まえながら、無電柱化を含めた送配電網の強靱化や、スマート化を推進する。また、鉄塔の総点検により現状を把握し、今後の更新に向けた計画を策定する。
提供:建通新聞社