国土交通省のまとめによると、2019年4〜9月に都道府県が発注した土木工事の不調・不落の発生率は8・2%となり、前年度より1・1ポイント上昇した。西日本豪雨の被災地など一部の地域では増加傾向にあるが、全国的には例年の水準と大きな乖離(かいり)はない状況。不調が発生しても再入札によって契約に至っており、同省は人手確保や地域建設業の受注余力に問題はないとみている。
19年度の公共事業費は、臨時・特別の措置を活用した「防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための3か年緊急対策」によって大幅に増加。18年7月の西日本豪雨の災害復旧も本格化しており、大型予算の執行を不安視する声も上がってた。
ただ、国交省関係の18年度補正予算(臨時・特別の措置分)の契約率は81%、19年度当初予算は70%(いずれも19年9月時点)となっており、18年9月時点の71%とほぼ同じ水準。
都道府県が発注した土木工事の入札不調・不落の発生率(19年4〜9月
)は前年度より1・1ポイント増の8・2%となったが、国交省のアンケート調査に対し「再入札の結果、ほとんどが契約に至っている」と回答する都道府県が大半だった。
不調・不落が発生する工事は、建築設備工事、小規模工事、山間部の工事、現場条件の悪い災害復旧工事などが多い。一方で、小規模工事でも3者以上が参加している工事が多かった、国交省は不調・不落の要因が人手不足ではなく、建設業者が条件の厳しい工事を敬遠することにあるとみている。
このため、昨年10月の台風19号被害を踏まえた施工確保対策でも、実工期を柔軟に設定できる余裕期間制度の原則活用・拡大、地域外からの労働者確保に必要な宿泊費などの設計変更、技術者実績の要件緩和などを盛り込むなど、各工事の採算性確保に配慮した。
昨年末に閣議決定された政府の19年度補正予算案と20年度当初予算案にも、19年度とほぼ同規模の公共事業費が確保されている。同省は必要に応じて追加の対策を講じることも検討する。
提供:建通新聞社