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2019/12/23

建退共 CCUSで退職金給付を徹底

 国土交通省は、建設業退職金共済の掛金が一部の技能者に給付されない現状を重くみて、退職金を確実に支給するための対策を講じる方針を決めた。現行の証紙・書面管理では、元請けが購入した証紙が下請けの労働者に過少に交付される傾向にあり、同省は電子申請方式を導入して退職金給付の徹底を図る。建設キャリアアップシステム(CCUS)に蓄積される就業履歴を利用し、建退共掛金を漏れなく給付する仕組みを整える。
 12月20日に開いた「建設業社会保険推進・処遇改善連絡協議会」のワーキンググループで、青木由行土地・建設産業局長は「公共工事の積算には建退共の事業主負担額が盛り込まれているが、末端の技能者に証紙が行き渡っていない実態がある」と問題提起。
 民間工事での普及も進んでおらず、「建設業に若年層を呼び込むためには、この問題にしっかりと取り組まなくてはならない」と早急に対策を講じる必要性を示した。
 建退共を巡っては、元請けが購入した証紙が技能者に行き渡らないだけでなく、元請けが下請けに「辞退届」の提出を強制する例もあるという。技能者を雇用する下請けは元請けに建退共事務を委託することになっているが、委託していない下請けの分まで証紙を購入している元請けもいる。
 現行の証紙・書面管理方式では、数次にわたる下請けが雇用する技能者一人一人に確実に証紙を交付・貼付するのは難しく、対象の技能者が現場に従事した日数や証紙の購入数に比べ、証紙が過少に貼付されてしまう。
 すでに、勤労者退職金共済機構は「就業実績報告ツール」を活用した電子申請方式を2020年度中に導入する予定で、国交省はこれに加え、CCUSを活用した電子申請方式も検討。建設キャリアアップカードで日々蓄積する就業履歴を利用し、建退共掛金を漏れなく給付できるようにする。
 下請けは、CCUSの施工体制登録時に元請けに建退共事務を委託。元請けは証紙に代わる電子ポイントを購入し、ポイントに基づいて自動的に掛金が充当され、退職時に給付されるようにする。
 CCUSの導入により、建退共事務の合理化が可能となるため、発注者が掛金を負担している公共工事では、証紙交付の履行確認を行うことも容易になる。
 国交省は、20年2月に開く次回の協議会に電子申請方式を活用した対策の方向性を提示する。合わせて、普及が進んでいない民間工事での対策も検討する考えだ。

提供:建通新聞社