国土交通省が建設業許可業者約1万1000者を対象に行った「2019年度下請取引等実態調査」によると、技能労働者の賃金水準を「引き上げた(予定含む)」と回答した許可業者が前年度比1・2ポイント増の83・9%になった。この設問を追加した13年度との比較では33・7ポイント上昇したことになる。19年度の調査では3次下請け以下の回答でも76・9%が「引き上げた」と答え、前年度から10・2ポイント伸びた。
調査は、元請け・下請間の取引を適正化するために毎年度実施しており、指導対象の調査項目で不適正な取引を確認した場合、許可業者への指導も行う。19年度は1万4000者に調査票を送り、1万1258者が回答した。指導対象となる28の調査項目に対し、全て適正に回答した業者は9・0%。不適正な取引を確認し、指導書を送付した業者数は8777者だった。
技能労働者の賃金水準は、調査項目に追加された13年度に「引き上げた(予定含む)」と回答した許可業者は全体の50・2%だったが、6年間で33・7ポイント伸び、83・9%まで上昇した。
19年度の結果を次数別に見ると▽元請け82・8%、(前年度比0・8ポイント減)▽1次下請け85・6%(2・9ポイント増)▽2次下請け83・5%(3・2ポイント増)▽3次下請け以下76・9%(10・2ポイント増)―となり、3次下請け以下の伸び率が最も高かった。
引き上げの理由としては、「実勢価格が上がり、引き上げなければ必要な労働者を確保できない」と回答した許可業者が51・2%と最も多かった。賃金水準を引き上げない理由としては「経営の先行きが不透明で踏み切れない」(44・5%)が最多となっている。
一方、請負契約額について、元請けとして下請けに対して「増額した」と回答したのは全体の44・4%となり、「変わらない」の48・7%を下回った。下請けの立場(元請けは発注者との契約額を回答)では、「増額された」という回答は39・5%となり、「変わらない」の50・8%よりも10ポイント以上低い結果が出ている。
提供:建通新聞社