国土交通省は、建設分野の特定技能外国人の「適正就労監理機関」を国際建設技能振興機構(FITS、真砂靖理事長)とすることを決めた。適正契約締結サポート(事前巡回指導)や受け入れ後講習、巡回指導・監査などの業務を通じ、特定技能外国人の適正な就労環境を確保する。受け入れ企業が登録支援機関に委託している一部の業務を無償・実費で行うため、各企業の費用負担を抑制する効果もある。
外国人建設就労者受入事業で3000社以上に巡回指導を行った実績を踏まえ、FITSを特定技能制度の適正就労監理機関に指定した。特定技能外国人に入国後3カ月以内での実施を義務付けられている受け入れ後講習の他、JACが委託する受け入れ企業への巡回指導や母国語相談ホットラインなどを実施する。
FITSが無償で行う適正契約締結サポート(事前巡回指導)では、受け入れ企業と外国人との契約にFITSが立ち会って雇用条件や事前説明などをチェック。国交省による受け入れ計画の認定も容易になるため、計画審査時の手戻りを防ぐことにもつながる。このサポートを受けると、入国後に受講義務のある受け入れ後講習を免除する特例も受けられる。
FITSの支援を受けると、受け入れ企業の費用負担も軽減される。入管法では、特定技能外国人の受け入れ企業に対し▽事前ガイダンス▽出入国時の送迎▽生活オリエンテーション▽日本語学習の機会提供▽転職支援―など10項目の支援措置を義務付けているが、これらの一部をJACとFITSが無償、実費で受託できるようにする。
国交省によると、受け入れ企業がFITSとJACを活用すれば、法務省が指定する登録支援機関(監理団体、行政書士など)にこれらの業務を一括で委託するよりも、受け入れ費用を抑えることができるという。
また、国交省は「外国人建設就労者受け入れ事業に関する下請け指導ガイドライン」を見直し、特定技能制度で元請け企業と下請け企業が負う役割と責任を明確化。外国人建設就労者と同様に、特定技能外国人の受け入れ企業に対し、元請けに現場入場届出書を提出することなどを義務付ける。
提供:建通新聞社