政府は12月20日に閣議決定した2020年度当初予算案で、一般会計分の公共事業費に前年度比0・8%減の6兆8571億円を計上した。19・20年度当初予算の通常枠に上乗せする「臨時・特別の措置」の計上額が7・1%減少したことに伴って12年度以来の減額となったが、過去10年でみると2番目に高い水準になる。全国に甚大な被害をもたらした台風被害を教訓とし、治山治水関連の予算が2年連続で1兆円を上回るなど、治水対策の強化を図る。最終年度を迎える『防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための3か年緊急対策』には、ソフト・ハード対策を合わせ1兆1432億円を充てる。
政府は13日に閣議決定した19年度補正予算案にも、公共事業費1兆5699億円を計上しており、20年度当初予算案と一体の「15カ月予算」として防災・減災、国土強靱化に切れ目なく投資する。
「臨時・特別の措置」は消費税率引き上げによる需要変動の平準化、「防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための3か年緊急対策」の財源として、19・20年度の通常予算に上乗せする。
20年度の公共事業費には、通常分の6兆0669億円(1・2%増)に「臨時・特別の措置」として7902億円(7・1%減)を追加。ただ、総額では「臨時・特別の措置」の減額の影響で0・8%減の6兆8571億円となった。前年度額は下回ったものの、過去10年の当初予算で見ると、19年度に次ぐ高い水準を維持している。
台風19号などの被害を教訓として、治山治水関連の予算額は1兆0507億円(3・5%増)と2年連続で1兆円を超えた。河川の危険箇所に対して集中的に河道掘削を行う個別補助を創設し、102億円を計上。年度の途中に用地取得などの課題が解消した場合、機動的に防災・減災対策を実施する「防災・減災等強化推進費(仮称)」も創設する。
大河川の調節池やダムなどの重要プロジェクトを「治水リーディング・プロジェクト」と位置付け、重点的に事業を実施する。3大都市圏と地方都市圏の31事業を選び、優先的に予算を配分する。
20年度当初予算案に盛り込まれた省庁別の公共事業費は、国土交通省が0・5%減の5兆9368億円、農林水産省が2・2%減の7990億円、環境省が4・7%減の565億円、厚生労働省が13・5%減の192億円といずれも減少。内閣府は0・1%増の424億円、経済産業省は32億円で前年度と同額だった。東日本大震災復興特別会計に盛り込まれた公共事業費は20・9%減の3662億円。
提供:建通新聞社