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2019/12/11

一人親方 安全衛生経費は自己負担

 国土交通省は、一人親方への安全衛生経費の支払いの実態に関して、一人親方に初のヒアリング調査を行った。安全衛生経費の注文者による費用負担については、「経費を請求したが支払われなかった」「下請け案件では請求しづらい」といった声が多く、自己負担している一人親方が大半だった。「安全会費≠(請負代金から)差し引かれる」など、会費や協会費の名目で注文者が経費を徴収するケースも多かった。
 この調査は、安全衛生経費が適切に支払われる「実効性のある施策」を検討するため、全国建設労働組合総連合(全建総連)の協力で国交省が実施したもの。首都圏のゼネコン、住宅メーカー、地元工務店の現場に従事する一人親方20人に対し、安全衛生経費の支払い実態を聞いた。
 注文者と一人親方の契約に関しては、「書面による契約はなし。金額を口頭で伝えられる」「大手に限れば、『工事請負基本契約』を交わし、2年で自動更新」といった声が聞かれた。書面で契約を結んでいても「安全衛生経費の取り決めはない」とする一人親方が多かった。
 実際の費用負担も「請求しても受け入れられない」などと、一人親方が負担するケースが多いようだ。安全会費や安全協会費の名目で定期的に経費を徴収し、注文者がヘルメットなどの器具を支給することはあるというが、徴収された経費を「使途不明。ヘルメットも自腹で購入している」と話す一人親方もいたという。
 国交省は、今回の調査結果も踏まえ、元請け・下請けが安全衛生意識を共有するための「安全衛生対策項目の確認表」と確認表に盛り込んだ対策の経費を請求するための「標準見積書」を作成。確認表と標準見積書の活用により、安全衛生経費が適切に支払われる環境を整えたい考えだ。