政府は12月5日、台風19号の被害を踏まえた国土強靱(きょうじん)化への追加的な対応を含む経済対策を閣議決定した。財政措置は13兆2000億円程度とし、事業規模は26兆円程度を見込んでいる。台風被害を受けた河川堤防などの復旧に加え、再度災害を防止するための「改良復旧」を実施する他、水害対策を中心に国土強靱化に追加的に投資する。財政投融資に3兆8000億円を充て、高速道路・都市鉄道・首都圏空港の整備に資金を供給する。
政府の経済対策は2016年度以来3年ぶり。約13兆2000億円の財政措置は、19年度当初予算の予備費を活用する他、19年度補正予算案と20年度当初予算案に計上する。19年度補正予算案は13日、20年度当初予算案は20日にも閣議決定する見込み。
経済対策の柱は▽災害からの復旧・復興と安全・安心の確保▽経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援▽未来への投資と東京五輪後も見据えた経済活力の維持・向上―とする。
台風被害からの復旧・復興では、災害復旧費に改良費を追加し、被災していない施設も合わせて改良する「改良復旧」を積極的に実施し、再度災害を防止する。最終年度を迎える『防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策』も着実に実行し、河川堤防、海岸堤防、農業水利施設、ため池などを整備する。
緊急対策に加え、今秋の台風被害を教訓として、防災・減災、国土強靱化を強化する。緊急対策とは別枠で、浸水・土砂災害の被害を最小化するため▽河道掘削・堤防強化▽雨水貯留施設の整備▽市街地再開発に合わせた集合住宅の浸水被害防止―などを実施する。
経済の下振れへの不安を払しょくするため、中小企業の設備投資やデジタル技術の実装を支援する。建設キャリアアップシステムを活用した地域建設企業の生産性向上も支援する。5G(第5世代移動通信システム)を活用した公共事業の無人化施工にも取り組む。
現下の低金利環境を生かし、インフラ整備に財政投融資を積極的に活用する。首都圏空港・都市鉄道・高速道路の整備や、民間都市開発事業と都市再開発に資金を供給する。
提供:建通新聞社