国土交通省は、2020年4月に契約する直轄の維持工事で、監理技術者の専任義務を緩和する。改正建設業法には「監理技術者補佐」を専任で配置した複数の現場を監理技術者が兼務できる規定が盛り込まれており、この規定が施行される20年10月1日時点で契約している維持工事が対象。維持工事に配置した監理技術者が、20年10月以降に発注される別の直轄工事を兼務することを認める。
建設業法では、請負金額3500万円以上(建築一式は7000万円以上)の公共性のある工事などで、主任技術者・監理技術者を専任で配置することを義務付けている。
改正建設業法には、監理技術者補佐を専任で配置すれば、監理技術者が複数の現場(2現場)を兼務できる規定が設けられた。監理技術者補佐には、21年度の技術検定再編で創設される「技術士補(仮称)」のうち、1級第1次検定に合格した1級技士補に加え、本来は監理技術者としても現場に配置できる1級施工管理技士の有資格者を充てることも可能。
このため、技士補の創設を待たず、監理技術者の専任緩和が施行される10月1日以降、監理技術者が二つの現場を兼務することが、建設業法上は認められるようになる。
この新たな緩和措置を直轄の維持工事に配置する監理技術者の負担軽減に生かす。年内にも入札公告する維持工事の20年度契約のうち、工期が改正法が施行される20年10月をまたぐ工事で、専任緩和を認める。
1年365日の対応を求められる維持工事では技術者の負担が重くなり、そのことが入札参加者が少数になる要因の一つになっている。専任緩和で技術者の負担を軽減するとともに、監理技術者補佐として配置した技術者に維持工事のノウハウを伝承してもらう狙いもある。
国交省は今後、兼務できる他工事の範囲(同一事務所内など)や配置する監理技術者補佐の入札時・工事成績評定時の評価などの詳細を詰める。20年10月以降に施工する維持工事以外の工種での扱いも検討する。
提供:建通新聞社