国土交通省は、随意契約や指名競争入札を活用して災害復旧を迅速、円滑に実施するための「災害復旧における入札契約方式の適用ガイドライン」を改定する。同省直轄の災害復旧では、このガイドラインに基づいて随意契約の活用が進んでおり、台風19号の災害復旧でも、直轄工事221件に随意契約を適用した(11月11日時点)。工事・業務の一時中止や見積もり活用など、入札契約方式以外の内容も追加し、災害時の調達がより円滑に進むようにする。
2017年7月にまとまったガイドラインは、早期・確実な施工が可能な受注者を短期間で選定することが求められる災害復旧について、工事の緊急度や企業の体制に応じた入札契約方式選定の考え方を整理したもの。例えば、緊急度が極めて高い応急復旧や本復旧には、随意契約の採用を求めている。
台風19号の被災地でも、地方整備局はこのガイドラインを活用して災害復旧の入札契約方式を選定。11月11日時点では、工事で221件、業務134件(地質調査6件、測量65件、土木コンサルタント63件)に随意契約を適用した。
台風19号など、ガイドライン策定後に発生した災害での経験を踏まえ、ガイドラインを改定する。
具体的には、応急復旧における予定価格の設定手続きを追加する。被害の全容が把握できない応急復旧では、労務・資機材の種類や数量が確定しないまま、工事に着手しなくてはならない。被害状況によって、資材価格が高騰することもある。
このため、協議書・承諾書で建設企業に対応を求めた上で、応急復旧後に実績数量・見積書を踏まえて価格を設定し、契約を結ぶ流れになる。
また、現場が被害を受けて受注者が施工を継続できなかったり、受注者が他地域の災害復旧に対応する場合には、工事・業務の一時中止を指示する必要もある。
こうした災害時の現場で発注者に求められる対応もガイドラインに盛り込み、災害復旧がより円滑に進む環境を整える。
提供:建通新聞社