2019/11/29
中建審工期WGが初会合 来夏に基準作成
国土交通省は11月28日、改正建設業法に位置付けられた「工期に関する基準」を作成するため、中央建設業審議会に設置したワーキンググループ(WG)の初会合を開いた。基準は、改正法で禁止された『著しく短い工期』の判断基準の一つとなるもので、WGで取りまとめた基準案を中建審で決定し、来夏に受発注者に基準に沿った工期設定を求める。初会合では、全工程共通の項目と工程・特性別の項目をそれぞれ検討すること、当面は発注者・元請け間の請負契約を検討することを確認した。
建設業の働き方改革の促進を掲げた改正建設業法では、現場の技術者・技能者の長時間労働につながる『著しく短い工期』での契約を禁止。受注者からの通報を受けた許可行政庁が、違反した注文者(発注者、元請け、上位下請け)を勧告する枠組みも整えた。
工期に関する基準は、この『著しく短い工期」の判断基準の一つとして中建審が作成し、受発注者に実施勧告する。下請けなどからの通報を受けた許可行政庁は、この基準に加え、過去の類似工事の実績、下請けが提出した工期の見積もり、有識者の意見などから判断し、違反者に勧告や指示処分を与える。
WGは、工期設定の実務に詳しい業界関係者の他、発注者、学識経験者らが参加し、工期に関する基準を検討する。個々の工事の特性を踏まえた基準を定量的に示すことは難しいため、全工期に共通する事項(自然要因や休日など)と工程ごとに考慮すべき事項などを定性的にまとめる。
民間工事における「住宅・不動産」「電力」「ガス」「鉄道」の主要分野の特性を基準に反映するため、すでに設置されている分野別連絡会議の検討成果をWGに報告するよう求める。
初会合では、全国建設業協会総合企画委員会の青柳剛副委員長が、群馬県建設業協会の会員企業に行ったアンケート調査の結果を報告した。調査結果によると、受注者の裁量で幅を持って工期を設定できる「フレックス工期」の運用拡大や、柔軟な工期延期の対応を求める声が多かったという。
会合ではこの他、直轄の土木工事で活用されている「工期設定支援システム」、日本建設業連合会が開発した「建築工事適正工期算定プログラム」も説明された。