2019/11/28
維持工事に指名競争入札 直轄事業で試行
国土交通省は、直轄の「維持工事」の中長期的な担い手を確保するため、指名競争入札を試行する方針を決めた。維持工事の応札者は減少傾向にあるため、10年以上にわたって同じ業者が受注するケースもあるなど、担い手の確保が課題になっている。通常は、一般競争入札を適用する予定価格6000万円以上の工事も試行の対象とし、入札参加者数を確保できるようにする。地域要件に加え、災害協定の締結や災害時の活動実績も評価して入札参加者を指名する。
直轄工事では、予定価格6000万円以上の工事に一般競争入札を適用しているが、6000万円未満の工事でも指名競争入札を適用する工事は少なく、2018年度の適用工事は62件(速報値、港湾空港関係・北海道・沖縄を除く)と全体の0・9%にとどまる。
一方、年間を通じた道路や河川の巡回・清掃・除草・除雪などを行う維持工事は、採算性が低かったり、通年で技術者の専任配置を求められるため、応札者が減少傾向にある。1者応札も多発しており、中長期的に担い手を確保する必要に迫られている。
同省では、工事成績評定の見直しなどによって受注者のインセンティブを高めることに加え、入札参加者数が少ないことが想定される維持工事で指名競争入札を試行、入札参加者数を確保する。試行工事には、低入札価格調査基準価格を下回る応札者の体制を厳しく評価する「施工体制確認型」も適用し、ダンピング受注を防止する。
指名基準は、試行工事を行う地方整備局で決める。維持工事の受注者の約7割が災害協定を締結していることを踏まえ、地域要件だけでなく、災害協定の締結状況や災害時の活動実績も評価する。事務所単位であらかじめ指名業者のリストもまとめておく。
さらに、技術の特殊性が高く、競争性が限定される維持工事では、「参加者確認型契約方式」の試行も全国で拡大する。中部地整が試行している同方式は、あらかじめ契約予定者を選定し、他の参加者の有無を確認する公募手続きを実施。応募がなければ、契約予定者と随意契約する。
年間契約を結ぶ維持工事では、早期発注によって前年度末までに入札手続きを終える。国交省は、年内にも入札手続きを始める20年度契約から、指名競争入札などの試行を開始する考えだ。