国土交通省は、施工時期の平準化を推進するよう、地方自治体への働き掛けを強める。品確法と入札契約適正化法の改正で発注者に対応の強化が求められたことを受け、まず、11月に全国8都市で開く「ブロック監理課長等会議」で都道府県の現状と課題を把握。11月上旬に開始する入札契約実施状況調査では、市区町村の実態も詳細に調べる。調査結果を踏まえ、2020年1月からは、対応の遅れている人口10万人以上の市に重点的にヒアリングを実施。3月末には全自治体の調査結果を公表する。
施工時期の平準化は、改正品確法で発注者の責務、入契法の適正化指針で発注者の努力義務とすることが明記された。公共工事における年度末と年度当初の繁閑の差が、建設業の働き方改革や現場の生産性向上を阻害するとの理由からだ。
都道府県・市区町村の発注工事の件数は、47都道府県と人口10万人以上の市(283団体、政令市含む)で全体の8割を占めることから、国交省は特に人口10万人以上の市に重点的に平準化を働き掛ける方針。まず、きょう11月5日にスタートするブロック監理課長等会議で、参加する都道府県と、平準化の推進に向けた課題を共有する。
公共工事の発注者を対象とした入契調査も11月上旬に開始する。今回の調査では、閑散期に当たる4〜6月と繁忙期に当たる1〜3月の平準化率(稼働件数と金額)を全ての自治体に回答してもらう。工事量の少ない小規模な市町村の実態も把握するため、500万円未満の小規模工事も調査対象に加える。
調査では、平準化に向けた具体的な取り組みも定量的に把握する。国交省は平準化に効果の高い▽債務負担行為・ゼロ債務負担▽柔軟な工期設定(余裕期間制度の活用)▽速やかな繰り越し▽積算の前倒し▽早期執行のための目標設定―の5項目の実施を従来から求めており、項目ごとの取り組みを定量的に回答してもらう。
債務負担行為は、「工期1年未満」でも平準化を目的に設定した工事件数・契約金額を回答するよう求める。
年内を期限に調査を終え、まず取り組みが遅れている人口10万人以上の市に20年1月から先行してヒアリングを実施。同年3月末には全自治体の調査結果を公表する。国交省は、改正する品確法運用指針を本格的に運用する20年度以降も、こうした進捗状況の把握と「見える化」のサイクルを継続させ、自治体に平準化を浸透させる考えだ。
提供:建通新聞社