国土交通省は、社会保険加入の許可要件化で懸念される一人親方化≠フ抑制策を検討する。改正建設業法が施行される2020年10月から社会保険未加入の企業は建設業許可・更新が認められなくなる。建設業には24年4月にも時間外労働の罰則付き上限規制が適用されるため、従業員を法律が適用されない一人親にし、規制を逃れる動きが加速する恐れがある。同省は20年度に検討会を設置し、規制を逃れるための一人親方化の抑制策をまとめる方針だ。
一人親方は、企業と請負契約を結ぶため、企業の社会保険加入の対象にはならない。社会保険への加入義務のある企業には、実態は労働者として現場に従事する技能者を一人親方として独立させ、社会保険料の事業主負担を回避する動きがある。
改正建設業法では、建設業許可・更新の要件に社会保険加入を追加。20年10月1日以降、企業単位で未加入の企業は、許可・更新が認められなくなる。時間外労働の罰則付き上限規制や有給取得の義務化も、あくまでも対象は従業員。こうした規制の強化が、負担を回避するための一人親方化に拍車を掛ける恐れがある。
国交省は、20年度に検討会を立ち上げ、こうした一人親方化を抑制する方策をまとめる。一人親方の実態調査を行う他、実際は労働者として現場に従事する一人親方への偽装請負の防止策なども議論する。
21年春にはまた、建設キャリアアップシステム(CCUS)の登録情報を活用した「専門工事企業の施工能力の見える化制度」も本格的に運用される。この中で、従業員の社会保険加入や技能者の自社雇用を積極的に評価することで、技能者の社員化へと専門工事企業を誘導する。
提供:建通新聞社