建設コンサルタンツ協会(建コン協)の高野登会長は18日に行われた建設専門紙との懇談会で、2019年度の「要望と提案」活動の状況について説明した。建コン協が最重点課題の一つと位置付けている「履行期限の平準化」については、働き方改革をさらに押し進め、将来の社会を担う若者に建設コンサルタントを職業として選んでもらえる業であるためにも「年度末に集中している納期の平準化が不可欠」と強調。国土交通省をはじめとした発注者がこの課題の改善に向けて、「繰り越し」を柔軟に活用するなど、改正公共工事品質確保促進法(改正品確法)の理念に基づいた対策の強化に取り組むことへの期待を表明した。
高野会長は、建コン協がまとめた国交省の各地方整備局ごとの履行期限の平準化に関する調査結果を示し、「業務量全体の50%の納期が3月では、働き方改革はできない。せめて30%程度にしてほしいというのが協会としての要望だ。しかし、2019年度の平準化目標を30%以下に設定しているのは1地整だけで、18年度実績を見ると、地整によっては3月納期が77%や67%という、ひどい実態がある」と指摘した。
その上で、「労基法の改正によって、国交省の履行期限の平準化への理解は深まっており、(平準化に向けた取り組みを進めることについては)私たちと合意している。だが、結果としてどうなるかを心配している。履行期限の年度末集中が改善されない限り、労基法に違反する会員企業が続出してしまうのでないか、という懸念がぬぐえない。これから年度末にかけての発注状況を注視していきたい」と述べた。
その一方で、高野会長は履行期限の平準化につながる好事例だとして、北陸地方整備局が行った道路の開通時期の表現の見直しについて紹介。
同局が当初「20年度」としていた道路の開通時期の表現を「年内開通」「夏までに開通」に見直し、開通時期に柔軟性を持たせたことによって、業務の納期に融通性を確保できる可能性が大きくなったことを評価。この課題の改善策を柔軟な視点から捉える必要性についても指摘した。
高野会長は「このままでは改正労働法を守ることが難しくなる。法を順守するためにも当初から履行期限を3月とするのではなく、工期の分散や、繰り越しの活用の拡大に取り組んでもらいたい」と述べ、あらためて発注者側がこの課題への理解をさらに深め、改善に向けた具体的な行動を取るよう求めた。
提供:建通新聞社