全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)は9月18日に東京都内で開いた協議員会で、10月に全国9地域で開く2019年度の国土交通省との地域懇談会に提案する議題やテーマを決めた。議題は『地域の防災と活力を担う魅力ある地域建設業を目指して』―。テーマとして「経営の安定化」と「災害対応等」「担い手確保(働き方改革、生産性向上)他」の3項目を挙げた。具体的な施策として、事業量の地域間格差を解消するための予算と事業の傾斜配分の徹底や、品確法の運用指針の地方自治体への浸透、災害対応時の事故への発注者の補償などを求めていく。
議題やテーマを設定するに当たって「問題意識」としてまず、国土強靭(きょうじん)化予算による事業の確保を評価する一方、「建設業の企業間格差や地域間格差が拡大する現状は変わっていない」と指摘。地域の防災やインフラの老朽化対策を担う地域建設業が経営を持続できるよう、強靭化予算の継続など事業量の確保が不可欠だとした。
さらに、新・担い手3法による「働き方改革」と「生産性向上」にかかわる施策の加速化を期待する一方、改正品確法の運用指針の適切な策定と発注機関への徹底の重要性を強調。公共工事では依然として「現場とかい離した積算、短い工期設定、片務性」などにより、受注者の経営が圧迫されるケースがあるとした。そして、地域建設業が適正に利潤を確保し、次世代に経営を引き継げる環境整備に協力を求めるとした。
テーマのうち「経営の安定化」では、持続的な事業量の確保や、中長期的な建設投資見通しの公表とともに、地域間格差を是正するため、「事業量の少ない地域に対する予算と事業の傾斜配分の徹底」を要望する。さらに、品確法の運用指針の地方自治体への浸透の必要を指摘。発注時の設計精度の向上や条件明示▽適正な発注価格と設計変更などでの片務性の解消▽ダンピング対策―などについて地方自治体への指導を求める。
「災害対応等」では、事故に対する発注者による補償や、上乗せ労災保険に必要な費用を発注者負担にする仕組みの検討を要望する。また、除雪作業に関して、待機費用や割り増し給料▽オペレーターの確保・育成費用▽機械維持費―などの企業負担への対応を求める。
働き方改革など「担い手確保」では、▽技術者・技能者の処遇改善のための現場管理費や設計労務単価、週休2日補正係数などの引き上げ▽施工時期の平準化や適正工期設定のための繰り越しの原則化▽ICT施工での積算基準の見直しや、助成制度の拡充など中小企業支援対策の強化―を要望する。
提供:建通新聞社