国土交通省の中央建設業審議会は9月13日の総会で、経営事項審査の審査基準改正案を了承した。今回の改正では、建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用した建設技能者の能力評価制度で、最高位のレベル4と、レベル3の技能者が所属する企業に「技術力(Z)」の評価項目で新たに加点する。「社会性等(W)」では、雇用する技術者と技能者の技術・技能の向上に努める企業を評価。技術者のCPD取得状況と技能者の能力評価におけるレベルアップの状況に応じ、加点措置を講じるとした。
8月29日に行われた国交省と建設業4団体との意見交換で、同省はCCUSを公共工事の評価に活用する方針を打ち出しており、その一環として経審を改正する。
現在、技術力(Z)の「技術職員数」の評価=図参照=では、登録基幹技能者に3点、技能士1級に2点を付与している。今年4月のCCUSの本運用に続き、建設技能者の能力評価制度が運用されることを見据え、職種別の能力評価基準でレベル4の判定を受けた技能者の所属企業に3点、レベル3に2点を与える。
専門工事業団体が作成し、国交省の認定を受ける能力評価基準では、レベル4に登録基幹技能者の資格保有、レベル3に技能士1級と一定以上の就業日数を求める。ただ、現在は経審の加点対象でない技能講習などをレベル3の要件とすることもできるため、加点対象となる技能者の範囲が広がることになる。2020年4月に施行する。
一方、社会性(W)の評価項目では、継続的に技術・技能を研さんする技術者と技能者の所属企業に対し、新たに加点措置を講じる。
技術者に対しては、建設系CPD協議会、建築CPD運営会議、建築設備士関係団体CPD協議会の加盟団体が発行するCPDの取得にインセンティブを与える。経審の審査基準日前の1年間に所属技術者が取得したCPDを合算し、5段階で評点を加点する。
技能者では、能力評価制度でレベル2以上にレベルアップした場合、所属企業を加点する。雇用する全ての技能者について、審査基準日前3年間にレベルアップした技能者の割合に応じ、3段階で加点する。
加点は最高10点とする見込みで、雇用する技術者・技能者の比率に応じ、「技術者点」「技能者点」を合算して算出する。技術者・技能者に対する加点は21年4月に施行する。
「建設業経理士 講習受講を加点条件に」
社会性(W)の評価では、これまで資格取得だけで加点していた公認会計士、会計士補、税理士、建設業経理士(1級・2級)について、資格取得後の講習受講を加点の条件に追加、最新の会計知識の習得を求める。公認会計士には研修の受講義務、税理士には受講しない場合の罰則があるため、ほぼ全ての有資格者が講習を受講している。
ただ、建設業経理士の登録経理講習は任意の制度で、有資格者に受講の義務はない。国交省は、今回の経審改正と合わせ、登録経理講習の内容を建設業法の省令に位置付け、講習内容を見直した上で、有資格者に積極的な受講を促す方針。20年度に講習内容の見直し、21年4月に改正した経審を施行する予定。
提供:建通新聞社