国土交通省は、高速道路の安全性や信頼性の向上に向けた整備方針として「高速道路における安全・安心基本計画」(案)をまとめた。おおむね10〜15年間で有料区間にある暫定2車線区間を半減することを目標とした。このため、特に課題の大きな延長約880`を優先整備区間に選定。この他、自動運転に対応した道路空間の整備や、事故多発地点での集中対策、逆走対策などを計画案に盛り込んだ。
先行して解消すべき暫定2車線区間は、有料で供用している対面通行の暫定2車線区間約1600`から選定。今後、財源確保の状況を踏まえながら順次事業化していく。
また、4車線化の完了までは時間がかかるため、対面通行区間の当面の緊急対策としてワイヤロープを設置する。土工部を対象に、全国で23年度内、高速道路会社の管理区間では21年度内に設置をおおむね完了させたい考え。
計画案には、自動運転への対応も盛り込んだ。自動運転車両によるトラックの隊列走行では、隊列の形成・解除拠点として、専用の物流拠点の整備手法を検討する。合流部の安全対策や、走行空間の構造や管理に関する仕様・基準も検討事項としている。自家用車についても、高精度3次元地図の基準点整備など、インフラ側からの走行支援の在り方を考える。
事故多発地点での集中対策にも取り組む。死傷事故率が平均の2倍以上の約300カ所を対象に、凹凸のある路面標示や薄層舗装などを施す。
逆走対策では、地点ごとに民間企業から公募した新技術を活用。29年までに逆走による重大事故をゼロするするとの目標を掲げている。
さらに、災害時にもネットワーク機能を確保するため、18年の重要インフラ緊急点検の結果を踏まえ、法面対策や耐震補強を推進。休憩施設の計画的な防災機能強化に取り組む。
同計画を踏まえ、高速道路会社が事業化書や、整備手法を盛り込んだ「安全・安心実施計画」を作成する。
提供:建通新聞社