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中央ニュース

2019/08/29

国交省・概算要求 事前防災対策を重点化

 国土交通省は8月28日、一般会計分の公共事業関係費として前年度比19・4%増の6兆2699億円(事業費15兆4549億円)を要求する2020年度当初予算の概算要求を発表した。同省分の一般会計全体の要求額は18・4%増の7兆0101億円で、10年ぶりに7兆円を超えた。20年度は「防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための3か年緊急対策」の最終年度に当たっており、事前防災対策の加速化について予算を重点的に要求した。
 要求額の前年度対比は、消費税率の引き上げに伴って19年度当初予算の編成時に設けた「臨時・特別の措置」を除いたもの。臨時・特別の措置を加えた19年度当初予算額で見ると、公共事業関係費は5・1%の増額要求になる。臨時・特別の措置は、20年度当初予算にも計上することが決まっており、年末までの予算編成過程で具体的な規模を決める。
 20年度当初予算は、3か年緊急対策の最終年度に当たり、気候変動の影響で頻発・激甚化する自然災害に備えるため、事前防災対策の関連で重点的に予算を要求する。
 水害対策の要求額は5623億円。気候変動の影響を踏まえた河川整備計画の見直し、洪水氾濫を未然に防ぐ堤防の嵩上げ・浸水対策の強化、施設能力を上回る洪水に対する減災効果の高い危機管理対策などに新たに取り組む。土砂災害対策に1167億円、南海トラフ巨大地震・首都直下地震対策に1999億円を要求した。自治体の事前防災対策を支援する防災・安全交付金には1兆2611億円を求める。
 インフラの老朽化対策では5827億円の確保を目指す。5年に1度の周期で進めてきた橋梁・トンネルの定期点検は、19年度から二巡目に入っており、点検結果を受けた着実な修繕が必要。ただ、一巡目を終えた地方自治体の修繕実施率は20%にとどまっており、国費による支援を充実させる新たな予算の枠組みを構築する。
 一方、ストック効果を重視した社会資本整備には、効率的な物流ネットワークの強化に5106億円、都市の国際競争力の強化に145億円、整備新幹線の整備に792億円、国際コンテナ戦略港湾の機能強化に732億円などを要求。自治体のインフラ整備を支援する社会資本整備総合交付金にも1兆0037億円を要求する。
 i−Constructionの推進では28億円を要求した。3次元データを活用して建設生産プロセスの生産性を高めるとして、BIM/CIMの推進、人工知能(AI)・ロボットの活用、新技術の現場実装などの事業費確保を目指す。建設業の人材確保・育成に向けては、適正な工期設定、建設キャリアアップシステムの加入促進・活用、外国人材の特別監査・巡回指導などで関連予算を要求した。

提供:建通新聞社