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中央ニュース

2019/09/11

原点回帰〜複業で地域を支える〜

第14回建設トップランナーフォーラム(6) 
第2部 高齢化社会を支える地域建設業 建設と介護と農業の複業で地域振興

■シナジー効果で拡大する多様な需要

 阿部氏_1「建設と介護の複業化」というモデルケースを確立、最近は自然薯(じねんじょ)の農園経営もプラスした岐阜県恵那市のセントラル建設。阿部伸一郎社長は、介護用品レンタル事業が住宅リフォームのニーズを引き出す仕組みを中心に、同社の取り組みを話した。

 岐阜県初の舗装会社として1961年に創業したセントラル建設。公共工事が激減し“脱公共工事依存”と“複業化”を考える中で始めた介護事業が、ある「効果」を生み出す。

 建材を扱うグループ会社のKanekuコーポレーションで、在宅介護に不可欠な介護用品のレンタルビジネスに乗り出したセントラル建設は、「介護に適した住宅のリフォーム」が求められていることに気付く。

 車イスでは使いづらい洋式トイレ、立ち上がりにくい位置に設置された手すり、必要な壁の補強などが行われず後々の事故につながるケースなど、建築のノウハウのないレンタル事業者による介護リフォームを見た同社は、介護用品の知識に「建設業の知識と経験」を加えることで、安全・安心な介護リフォームができると考えた。「介護用品レンタル事業は本来、建設業者が行うべき仕事だ」と阿部社長は強調する。

 介護レンタル利用者の増加に比例し、リフォーム受注は伸びた。建築の実績がないため当初は下請けに出していたが、09年にはセントラル建設に「住宅事業部」を新設し、自社で請け負うようになる。3年目に80件だったリフォーム件数は、7年目で720件に増えた。レンタルの延べ利用者数の約4割が、住宅改修の受注件数になる計算だという。

 阿部社長は「地域密着型の建設と介護が重なればさまざまな“シナジー効果”が起きる」と説明。リフォームだけでなく空き家管理、田畑の手入れ、オール電化リフォームといった新しい需要が、二つの分野の化学反応によって生まれている。

 「マグニチュード6以上の大地震の20%は日本で発生している一方、縁の下の力持ちである建設業は激減している」と警鐘を鳴らす阿部社長は「われわれのビジネスモデルが全国に広がれば、建設業が元気になって地域の安全・安心を守ることができ、快適なシルバーライフも提供できる。我が国に求められている究極の社会貢献事業だ」と話す。

 17年からは自然薯の農園経営を開始した。同社は4〜6月が閑散期だが、自然薯のたね植期はちょうどその時期。得意の重機を使って畑づくりのスピードも15倍にアップするなど「建設業と相性抜群の事業」と話す。数年後には分社化して「農地所有適格法人」を目指す。阿部社長は「農業も地域密着産業。建設、介護、農業のイノベーションで、地域の“オンリーワン企業”を目指して頑張っている」と締めくくった。(地方建設専門紙の会)

地方建設専門紙の会