国土交通省は、品確法の「発注関係事務の運用に関する指針(運用指針)」の改正骨子案をまとめ、8月8日から全国の地方自治体と建設業団体に意見提出を依頼した。品確法改正を踏まえ、公共工事の発注者が「適正な工期設定」や「施工時期の平準化」などに取り組むべきとした他、工事と同様に調査・設計の品質確保を図るとした。災害時には随意契約・指名競争入札や見積もりを積極的に活用し、緊急対応を充実・強化することも求めた。自治体・業界からの意見を反映し、年内に決定する。
運用指針は、公共工事の発注者が品確法の発注者責務を果たし、発注関係事務を効率的に運用するため、発注者共通の指針として2014年の前回改正時に初めて策定された。
改正品確法が6月7日に公布されたことを踏まえ、国交省が運用指針の改正骨子案をまとめ、自治体と建設業団体に意見提出を要請した。9月13日までに改正骨子案に対する意見の提出を求める他、今秋に全国で開く地域発注者協議会でも意見を聞く。年内に運用指針を改正し、20年度から改正した運用指針に基づく発注事務の運用を始める。
改正骨子案は、改正法で発注者責務に追加された「災害時の緊急対応の充実強化」「働き方改革への対応」「生産性向上」「調査・設計の品質確保」の4本の柱を踏まえ、具体的な施策を追加した。
例えば、働き方改革への対応では、週休2日や準備・後片付け期間などに考慮した適正な工期を設定する他、繰越明許費・債務負担行為を活用して施工時期を平準化することを求めた。
ICT建機、3次元データ、情報共有システム(ASP)、ウェアラブルカメラなど、ICT技術を積極的に活用し、建設現場の生産性を向上させることも要請。電子データを工事の成果品として受け取り、適正に保存することで将来的な人工知能(AI)の利用環境を構築することも求めた。
調査・設計の品質確保では、受注者が適正な利潤を確保できるよう、最新の技術者単価、適正な歩掛、保険料などを盛り込んだ予定価格を設定するなど、工事と同じ水準で発注関係事務を実施することを改めて求める。
災害時の緊急対応では、工事の緊急度に応じて随意契約と指名競争入札を採用し、早期に復旧作業に着手する。積算価格と実勢価格が乖離(かいり)し、入札不調が多発する場合には、積算に見積もりを活用したり、復興係数・復興歩掛などを導入する。
提供:建通新聞社