厚生労働省は、全国の労働局や労働基準監督署が外国人技能実習生が在籍している事業場(実習実施機関)に対して行った2018年の監督指導・送検状況を公表した。監督指導を実施した7334事業場のうち5160事業場(70・4%)で割増賃金の未払い、危険や健康障害を防止する措置の未実施などの労働基準関係法令違反があった。重大、悪質な違反が認められ、送検した事案も19件あった。建設業は659事業場に対して監督指導を実施。474事業場(71・9%)で違反が見つかった。
最も多かった違反は、違法な時間外労働などの「労働時間」(23・3%)で、安全措置が講じられていない機械を使用させていたなどの「安全基準」(22・8%)、賃金不払残業など「割増賃金の支払い」(14・8%)―などの違反もあった。
建設業の違反は、「安全基準」139件(21・1%)、「割増賃金の支払い」134件(20・3%)、「賃金台帳(の不備)」98件(14・9%)―の順に多く、中には、あらかじめ安全な作業方法や労働者の配置などを定めないまま、必要な資格を持っていない技能実習生に玉掛けを行わせ、移動式クレーンでつり上げた鉄板が技能実習生の足首に接触して骨折。労働安全衛生法(安衛法)第20条の安全基準、同第61条の就業制限、クレーン等安全規則第66条の2に違反しているとして是正勧告を受けた事業者もあった。
一方で、技能実習生が労働基準監督機関に労働基準関係法令違反の是正を求めた申告も103件あった。
最も多かった申告は労働基準法(労基法)第24条、第37条の規定に反する「賃金や割増賃金の不払い」(96件)。最低賃金法第4条に違反した「(約定賃金額が)最低賃金未満」(26件)や、労基法第20条で規定している「(解雇予告手当ての不払いなどの)解雇の手続不備」(15件)もあった。
厚労省(労働基準監督機関)が技能実習生への労働基準関係法令違反が認められたとして出入国管理機関・外国人技能実習機構へ通報した事案が全国で389件あり、反対に出入国管理機関・外国人技能実習機構から労働基準監督機関へ通報のあった事案も43件あった。
提供:建通新聞社