国土交通省は、改正建設業法・入札契約適正化法の一部を9月1日に前倒しで施行することを検討している。改正法は、2020年10月(技術検定制度は21年4月)の施行を目指しているが、改正入契法の施行を前倒し、公共工事の発注者に対する施工時期の平準化の働き掛けを開始する。改正建設業法でも、災害時における建設業団体の責務規定や、建設業者が技術・技能を向上させる努力義務などを9月1日に施行する方向で調整している。
改正建設業法・入契法の施行時期は、6月12日の公布から1年6カ月以内に政令で定めるとされており、許可基準の見直し、著しく短い工期の禁止などは、20年10月の施行を目指している。技術検定制度の見直しは21年4月までに施行し、21年度試験から適用する見通しだ。
一方、公共工事の発注者に施工時期の平準化や必要な工期の確保を図るよう措置した入契法については、改正法の国会審議の際にも、施行時期を前倒しし、市町村などに積極的な取り組みを指導するよう求められていた。
6月14日に公布・施行された改正品確法でも、発注者責務に施工時期の平準化が追加され、債務負担行為・繰越明許費を活用して複数年度にまたがる工期を設定するよう求めている。
国交省は、改正入契法の9月1日の施行後、入札契約適正化指針を改正して閣議決定。改正入契法と改正品確法を根拠として、発注者に施工時期の平準化を働き掛ける。
改正建設業法の一部の規定も9月1日に施行を前倒す方向で検討する。具体的には、施工技術の確保に関する建設業者の責務規定を同日に施行する考え。この規定では、技術者と技能者が働きながら講習や研修に参加してもらうリカレント教育を求める。
施工管理技士や登録基幹技能者資格の取得、eラーニングなどを活用した研修プログラムの受講、建設技能者の能力評価制度の活用などを技術者・技能者に推奨する。
さらに、災害時に建設業者や地方自治体との連絡調整などを求めた建設業団体に対する責務規定の施行も9月1日とする方向で検討。迅速な災害復旧を実現するため、各団体に自治体・建設業者と連絡調整する努力義務を課す。
提供:建通新聞社