国土交通省の直轄事業における調査・設計業務(測量、地質調査、土木関係建設コンサルタント)で、2018年度に3月納期を設定した業務が41%となり、初めて50%を下回った。履行期限の平準化を進める同省では、納期の前倒しや繰り越し活用などの積極的に活用する意識改革を進め、3月納期を50%以下にするとしていた目標を達成した。同省は直轄事業における新たな目標を設け、履行期限の平準化をさらに推進する方針だ。
直轄事業で3月納期を設定した調査・設計業務は、17年度の50・8%から41%(速報値)へと大幅に改善した。4〜12月納期は前年度の8・8%から16%、1・2月納期は24・9%から25%と、いずれも改善した。
3月納期の業務は、13年度の66・8%から25ポイント超低下した。同省では、3月に集中している業務の履行期限を平準化するため、4〜12月を25%以上、1・2月を25%以上、3月を50%以下とする目標を設けており、3月納期を50%以下とする目標を初めて達成した。
3月納期の業務が大幅に減少した要因の一つには、繰り越しの増加がある。契約時点で3月末以前としていた納期を翌年度に変更する繰り越しの活用率は、集計を始めた13年度の2・6%から18%まで上昇。18年度に繰り越しを活用した業務は、19年度の4〜12月の納期となるものが多く、19年度の履行期限の平準化にも効果を及ぼす。
5年の猶予期間がある建設業と異なり、測量業、地質調査業、建設コンサルタントには、すでに今年4月から時間外労働の罰則付き上限規制が適用されており、長時間労働につながる3月納期の減少が急務となっている。
国交省は、19年度当初予算で調査・設計業務に初めてゼロ国債を設定し、20年度からは繰り越しとともに国債活用による履行期限の平準化を図る。6月に公布・施行された改正品確法では、工事と同様に調査・設計の品質を確保することが発注者に求められており、直轄事業だけでなく、地方自治体が発注する調査・設計業務でも履行期限の平準化を働き掛けていく。
提供:建通新聞社