国土交通省は、数量と日当たり施工量から工期を自動算出できる「工期設定支援システム」をバージョンアップした。直轄工事の実績工期を教師データとしてシステムに組み込み、人工知能(AI)でより精度の高い工程表を作成できるようにした。今夏に「バージョン3.0」として同省HPで配信する。地方自治体が工期設定支援システムを利用できるよう、データ仕様も公開し、ベンダーに積算システムの改良を促す。
工期設定支援システムは、土木工事積算システムから出力された数量と日当たり施工量から、工種ごとに標準的な必要日数を自動算出し、バーチャート形式の工程表を作成する。各地域で設定されている雨休率の他、準備・後片付け期間も自動で設定できる。標準的な工期と比べて1割以上の工期短縮があると、注意喚起のメッセージが出るなど、発注者に適正な工期設定を促す。
建設業の働き方改革を推進するために同省が作成し、2017年4月から維持工事などを除く直轄工事に原則として適用している。
このシステムには、各工種の必要日数を自動算出し、工程に沿って並べる「工程表作成アシスト機能」がある。18年度から、このシステムで作成した過去の工程表(教師データ)を、AIを使って検索できるようにし、アシスト機能を強化した。
19年度には、AIで検索する教師データを前年度の368件から1940件に拡大。工期設定の精度を高めるとともに、工程表を作成するアシスト機能をさらに高め、工種ごとの必要日数を工程通りに並べ替える手間を減らした。
同システムは、17年4月から公共工事の発注者に無料で提供しているが、各発注者が使用する積算システムとの互換性がないと、数量・日当たり施工量を自動で取り込むことができない。
同省は、バージョンアップに合わせて、システムのデータ仕様を公開し、積算システムのベンダーに互換性を高めるシステム改良を促す。自治体の利用を拡大することで、工程表の過去データが大幅に増え、システム自体の精度がより高まることも期待できる。
提供:建通新聞社