2017年の「アスベスト除去工事」の市場規模は1年間で2346億円―。環境省が「直接的に環境負荷の低減に寄与している」工事だとして、環境産業の市場規模・雇用規模などを推計するモノ・サービスの対象に加え、初めて推計した。大気汚染防止法と廃棄物処理法で、発がん性の高い順にレベル1、2に分類されているアスベストを除去する工事を対象として推計した。
この推計は、吹付けアスベストの使用が開始された1956年から、アスベスト含有吹付けロックウール(乾式)については業界の自主規制によって使用を中止した1980年まで、同(湿式)については乾式と同様に、業界の自主規制によって使用を中止したとされる1989年までの間に建設された鉄骨(S)造、鉄筋コンクリート(RC)造の建築物の延床面積に耐火被覆材を使用した面積の割合と、除去工事の単価を乗じた。
除去工事の延床面積の算出には、国土交通省が社会資本整備審議会建築分科会アスベスト対策部会での検討のために整理した「民間建築物における吹付けアスベストに関する調査結果」を活用。 この調査結果では、1956年から業界の自主規制によってアスベスト含有吹付けロックウールの使用が中止された89年までの間に建設されたS造とRC造などの大規模建築物は約26・6万棟、このうち露出した状態でアスベストが吹付けられている建築物が約1・8万棟あるとしていることから、1棟当たりの平均床面積を1万平方b、床面積に対する耐火被覆材を使用した面積の割合を150%と仮定し、対象床面積を1・95億平方bと算出。これに1平方b当たり2万円と仮定した工事費を乗じた額を大規模建築物の市場規模と見なした。
一方、中小規模建築物については、吹付けアスベストなどが使用されているにも関わらず、除去などの対策が行れないまま残存している建築物を2・65万棟として計算。1棟当たりの平均床面積を1000平方b、床面積に対する耐火被覆材を使用した面積の割合を150%と仮定し、対象床面積を3975万と算出。これに1平方b当たり4万円と仮定した工事費を乗じた額を中規模建築物の市場規模と見なし、この両方の額を合算した。
提供:建通新聞社