国土交通省は6月24日、「建設工事における安全衛生経費の確保に関する実務者検討会」を開き、安全衛生経費の積算・支払いの実態調査の結果(速報値)を報告した。注文者(発注者、元請け、上位下請け)から提示された見積もり条件に安全衛生対策の具体的な内容がなかったとの回答は5割超。見積もり条件に安全衛生対策を盛り込んでも、対策の費用が明示されているとの回答は2割台にとどまった。
実態調査は、建設業許可業者2万者を対象に行い、元請け約1000者、中間次下請け約400者、最終次下請け約300者の合計約1700者が回答した。
調査結果によると、安全衛生対策の積算については、直接工事費などの総額に一定率を乗じると回答した元請けが58%、細目ごとに積み上げると回答した元請けは22%。中間次の下請けも率計上が49%、積み上げが32%と同様の傾向にあった。
注文者が提示した見積もり条件で、安全衛生対策の記載があったとの回答は元請け53%、中間次の下請け51%、最終次の下請け54%となり、各階層で50%を超えた。見積もり条件で示されても、費用が具体的に明示されていたとの回答は、元請け54%、中間次の下請け57%、最終次の下請け60%だった。
安全衛生対策の費用が認められなかった場合の対応として「会社利益を削って確保」と回答した元請けは72%、中間次の下請けは65%だった。
検討会では、今回の実態調査の結果を精査し、2019年度末までに安全衛生経費が適切に支払われる施策をまとめる。24日の会合で、国交省は対策の実施者と経費負担者を確認できるチェックリストを作成することを提案した他、安全衛生経費の範囲に関する受発注者の意識共有を図る必要性も示した。
提供:建通新聞社