防災・減災、国土強靱(きょうじん)化関連の公共事業費の増加で、都道府県の一部に入札不調・不落の増加を懸念する声が出ている。国土交通省が行ったアンケート調査に対し、災害復旧工事の多い都道府県など19団体が「入札不調・不落の件数の増加が懸念される」と回答。都道府県の不調・不落の発生率(平均)は2018年度まで3年連続で上昇しているが、不調・不落の発生後の再入札で、契約に至るものが多いという。
2018年度の都道府県発注工事の入札不調・不落の発生率は7・0%で、前年度の5・9%から1・1ポイント上昇。国交省の直轄工事は11・9%と前年度から3・4ポイント増えている。
全国的に小規模工事、建築・設備工事、年末・年度末の発注工事で発生率が高い他、地域別では関東甲信越や北陸の建築・設備工事、中国・四国・九州の災害復旧工事で多く発生する傾向にあるという。
国交省のアンケート調査に対し、入札不調・不落の発生後に再入札を行った結果、「ほとんどが契約に至った」と回答した都道府県は33団体。発注時期の変更や発注ロットの見直しなどを行った上で再入札し、契約に至っているため、現状で執行に課題を抱える都道府県は少ない。
ただ、災害復旧工事や「防災・減災、国土強靱化3か年緊急対策」などで事業量の増加を見込んでいる都道府県は40団体に上っており、入札不調・不落の増加を懸念しているとの回答が19団体からあった。高力ボルトなどの資材や慢性的な人手不足によって、人材・資機材の確保に「懸念がある」と答えた都道府県は31団体に上っている。
国交省では、19年度の公共事業費の増加に備え、今年2月に直轄工事における施工確保対策を発表。見積もりの積極的な活用や余裕期間の原則活用などの対策をすでに講じている。都道府県でも、交通誘導員不足を補う自家警備の一部承認、発注ロットの適正化、技術者配置の緩和などの対策が施工確保に効果を発揮しているという。
提供:建通新聞社