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中央ニュース

2019/06/10

改正品確法が成立 運用指針見直しへ

 災害対応の強化や建設業の働き方改革、生産性向上などを公共工事の発注者に求める改正品確法が6月7日の参院本会議で可決、成立した。5日に成立した改正建設業法・入契法、改正品確法と一体で新担い手3法として建設産業の環境改善を後押しする。改正品確法の成立を受け、政府は同法の基本方針を改正するとともに、国・地方自治体など発注者の共通ルールである「発注関係事務の運用に関する指針」(運用指針)も見直す。
 基本理念に「担い手の中長期的な育成・確保」を位置付け、予定価格の適正な設定やダンピング対策の強化を図った前回の改正に続き、▽災害時の緊急対応の充実強化▽働き方改革への対応▽生産性向上▽調査・設計の品質確保―などを発注者の責務に追加する。
 災害復旧に迅速に着手できるよう、工事の緊急度に応じて発注者が災害復旧工事の入札契約に随意契約と指名競争入札を選択できるようにする。災害発生後に見積もりを参考に予定価格を積算することを認め、通常の価格設定が困難な資材価格・労務費の変動に対応できるようにする。
 災害復旧工事の予定価格には、労災補償の上乗せ契約に必要な保険料を反映することも求める。
 建設業の働き方改革を後押しするため、休日・準備期間、天候を考慮した適正な工期を設定することも発注者の責務に追加する。債務負担行為・繰越明許費を活用して施工時期の平準化を図ることも求める。設計変更時にも繰越明許費を活用し、翌年度にわたる適正な工期を確保するよう求める。
 ICT技術を活用した建設現場の生産性向上は、受注者・発注者双方の責務に位置付ける。発注者はICT技術で監督・検査の効率化を図る。調査・設計(測量、地質調査、点検・診断、設計)も広く法律の対象に追加し、工事と同様に品確法を順守した発注関係事務を行うよう求める。
 改正法は今週中にも公布・施行し、今後、全ての都道府県・市町村が参加する地域発注者協議会などを通じ、改正法の趣旨を全国の発注者に周知する。同法の基本方針も国の省庁間で合意し、閣議決定する。前回改正時に策定した運用指針は見直し、2020年度から各発注者が改正内容を発注関係事務に反映できるようにする。
【業界から評価の声】
[担い手確保の加速に期待]
日本建設業連合会 山内隆司会長 新担い手3法によって、これまで官民が一体となって進めてきた、建設業の担い手確保に関する取り組みが一層加速することを期待している。当会としても、人口減少・少子高齢化といった社会構造の変化に耐え得る建設業の確固たる礎を築くため、二大事業である「週休二日の実現」「建設キャリアアップシステムの普及促進」をはじめ、 「労務費尊重見積り宣言の浸透」「i−Constructionの推進」などの活動をさらに強力に進めていきたい。
[業界の環境改善の推進力に]
 全国建設業協会 近藤晴貞会長 新担い手3法は、必要な工期の確保、施工時期の平準化などにより建設業の働き方改革を促進するとともに、工事現場の技術者に関する規制の合理化や災害時の緊急対応の充実強化のための体制整備などを図るものであり、これにより、建設産業を取り巻く環境が大きく改善されると期待している。全建としても、この新担い手3法に力を得て、地域建設業が「地域の守り手」としてより一層発展できるよう全力を尽くしていきたい。

提供:建通新聞社