1994年以来25年ぶりの大改正となる改正建設業法・入札契約適正化法が6月5日の参院本会議で可決、成立した。2021年4月の全面施行を見据え、国土交通省は改正法に盛り込まれた制度の詳細を詰める。今夏には、中央建設業審議会にワーキンググループを設置し、長時間労働につながる著しく短い工期≠フ判断基準となる「工期に関する基準」の検討を開始。改正入契法の入札契約適正化指針も改正し、今秋に閣議決定。公共発注者に、施工時期の平準化に取り組む努力義務を課す。週内には品確法改正案も成立する見込みで、新担い手3法として建設業の働き方改革や現場の生産性向上に向けた環境改善を後押しする。
時間外労働の罰則付き上限規制が建設業に適用される24年4月を見据え、適正な工期設定で長時間労働を是正するための法的な枠組みを整える。
この枠組みの柱となるのは、改正法で中建審に作成・実施勧告の権限を持たせた「工期に関する基準」だ。国交省は中建審に設置するWGで、1年程度を掛けて基準を検討する。基準は、個別工事の工期を定量的に示すものではなく、工期設定の際に考慮すべき「自然要因」「不稼働日(休暇、雨天)」「現場の周辺環境」などの項目を定める。
通報などを受けて許可行政庁が立ち入り検査を行ったり、発注者から資料提出を求め、この基準に照らして著しく短い工期≠ニ判断した場合、受発注者を勧告・公表できるようにする。建設業者(元請け、上位下請け)は勧告・公表だけでなく、建設業法の監督処分の対象にもする。
入札契約適正化法の改正では、同法に基づく入札契約適正化指針に「施工時期の平準化」と「施工に必要な工期の確保」を盛り込めるようにした。今秋にも指針を閣議決定し、地方自治体などの公共工事の発注者に施工時期の平準化などに取り組む努力義務を課す。
指針に盛り込まれることで、平準化に取り組まない発注者に対して国が要請できるようになる他、同法に基づく実施状況調査により、各発注者の取り組みをフォローアップできるようになる。
建設業許可要件の見直しでは、企業単位での社会保険加入を許可要件に位置付ける一方、経営業務管理責任者(経管)の要件緩和も図る。現在、経管には、5年以上の役員経験を求めているが、経営を補佐する能力がある者を配置すれば、建設業以外の役員経験や管理職経験で経管として配置することを認める。
「技術検定の再編 21年度試験から適用」
技術検定の再編を除く改正建設業法の規定は20年10月に大半が施行されるが、技術検定の再編のみ21年4月に施行し、21年度試験から現在の学科試験・実地試験を「第1次検定」と「第2次検定」に見直す。
第1次検定の合格者に与える「技士補」の資格も創設。1級技士補の有資格者を「監理技術者補佐」として現場に配置できるようにし、監理技術者に監理技術者補佐を専任で配置した二つの現場の兼務を認める。
いずれも、若年層の技術者が早期に活躍できる環境を整備するための措置。1級技術検定の学科試験の受験資格として求められる実務経験は廃止し、2級合格の翌年度に1級の第1次検定の受験を認める。1級技士補の資格取得を早め、若手技術者が監理技術者補佐として現場で活躍できるようにする。
提供:建通新聞社