国土交通省は、気候変動による災害の激甚化を受け、将来的な気温の2度上昇に耐えられる治水計画手法と施設設計手法を導入する。気候変動の影響には不確実性があるものの、気温が2度上昇した場合の外力の増加に耐えられる堤防の強化・嵩上げやダムの改良を進める。2019年度から2度上昇時の外力変化を検証するとともに、気候変動を踏まえた河川整備計画の見直しに着手する。
5月31日に開いた「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会」にこうした考えを提案した。
気候変動に伴う外力の増加により、河川の治水安全度が全体的に低下している。今後の気温上昇でさらなる安全度の低下を招く恐れがあるとして、気温上昇に対応できる対策を講じる。
具体的には、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)がまとめた気候変動シナリオを前提として、将来的に気温が2度上昇することを見込んだ治水計画や施設設計へと見直す。
河川整備計画は、目標安全度が低かったり、計画策定後10年以上が経過している河川で優先的に見直し、気候変動の影響を考慮した安全度設定、降雨量が増加しても手戻りない施設整備、施設能力を上回る洪水に対しても減災効果を発揮する対策などを位置付ける。
施設設計では、気温2度上昇を見込み▽堤防強化・嵩上げ▽ダムの改良▽遊水池への越流堤ゲート設置▽排水機場の増強▽橋梁の桁下高・径間長の見直し―などを実施。施設の更新時期や耐用年数を考慮し、気温2度上昇に対応するだけでなく、4度上昇のシナリオも視野に入れた構造的な工夫も施す。
提供:建通新聞社