厚生労働省は「2018年労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)と総合工事業調査)」の結果をまとめた。総合工事業の災害の発生頻度を表す度数率は1・09(前年0・81)、災害の重さの程度を表す強度率は0・30(同0・18)で、死傷者1人平均労働損失日数は280・6日(同225・2日)だった。17年と比べ度数率は0・28ポイント、強度率は0・12ポイントそれぞれ上昇し、死傷者1人平均労働損失日数も55・4日増加。「第13次労働災害防止計画」と「第8次建設業労働災害防止5カ年計画」がスタートした18年は、結果的に総合工事業の労働安全が“後退”した年になってしまったことが分かった。
工種別にみると、土木工事業の度数率は1・54(前年1・19)、強度率が0・45(同0・40)。建築事業の度数率は0・99(同0・74)、強度率が0・27(同0・14)となった。
死傷者1人平均労働損失日数は、土木工事業が293・3日(前年335・0日)、建築事業が276・5日(同・189・5日)だった。
総合工事業の請負金額別に見た強度率は10億円以上が0・33(前年0・25)、5億円以上10億円未満が022(同0・09)、5億円未満が0・28(同0・02)。
死傷者1人平均労働損失日数は、10億円以上が331・3日、5億円以上10億円未満が147・5日、5億円未満が243・9日だった。
他方、100人以上の常用労働者が働いている事業所を対象とした「事業所調査」によると、総合工事業を除く建設業の度数率は0・79(前年0・92)、強度率は0・28(同0・14)、死傷者1人平均労働損失日数は349・8日(同148・8日)となった。
同省の事業所調査は、主要産業の労働災害発生状況を明らかにするため総合工事業を除き、10人以上の常用労働者を雇用する事業所を対象として年1回、総合工事業調査は、総合工事業の工事現場を対象として年に2回調査を行っている。
今回の総合工事業調査は、労働者災害補償保険の概算保険料が160万円以上、または税抜きの工事請負金額が1億8000万円以上の工事現場の中から抽出した5373工事現場を対象とした。有効回答数は4674、有効回答率は87・0%だった。
提供:建通新聞社