国土交通省は、西日本豪雨で発生した土砂災害による被害を受けて設置した「実効性のある避難を確保するための土砂災害対策検討委員会」の最終報告をまとめた。報告書では、避難路や避難所の安全度を向上させる砂防施設の整備を積極的に推進するとした他、老朽化した石積砂防堰堤を早急に改築・補強するよう提言した。
西日本豪雨では、広島県や愛媛県を中心として、年平均の発生件数の2・3倍に相当する2581件の土砂災害が発生した。死者数は119人となり、豪雨に伴う土砂災害としては平成で最多となった。
検討委員会では、西日本豪雨での被害状況とこれまでの土砂災害対策を検証した上で、住民の避難の実効性を高める「土砂災害警戒情報の精度向上」「土砂災害警戒区域などの認知度の向上」など六つの施策を提言。
このうちハード対策としては、地区防災計画と連携した砂防施設を整備するよう要請し、地区防災計画に位置付けられた避難路・避難場所の安全度を向上させる砂防施設を優先的に整備するよう求めた。
西日本豪雨で、戦後間もなく建設された石積砂防堰堤が複数被災したことを踏まえ、被災の恐れが高く、地域への影響が大きい施設を調査し、改築・補強などの対策に早急に取り組むべきとした。土砂災害特別警戒区域にある建築物については、安全性の確認・補強・移転が進むよう、関係機関と連携して所有者に対策を促すよう求めている。
提供:建通新聞社