建設業振興基金の「建設業経理検定制度に関する懇談会」(座長・安藤英義専修大学大学院教授)は5月23日、検定試験の出題範囲の見直しや登録経理講習の義務化などを求める提言書をまとめた。懇談会では、会計ソフトの普及に伴う経理処理の変化に合わせ、1・2級試験の出題範囲を定期的に見直すよう提言。有資格者に対する登録経理講習を充実させ、受講を義務化することも求めた。振興基金は今回の提言を受け、今後3年程度を掛けて出題範囲を見直す考えだ。
建設業経理検定制度では、1981年の創設以降、累計の合格者が81万8666人(1〜4級)に上っている。制度創設後、建設業会計を取り巻く環境が変化していることに加え、今後も人工知能(AI)やICT技術によってさらに変化することも予想される。
昨年6月に設置された懇談会では、時代のニーズにあった検定制度の在り方、有資格者の活躍を支援する方策を1年にわたって検討。23日、振興基金の佐々木基理事長に提言書を提出した。
提言書は、検定試験の出題範囲を見直し、1級の検定試験に含まれる「リース取引会計」「税効果会計」「連結会計」「JV会計」を2級に繰り下げることを提案。試験問題のテキストを改訂するなど、新しい出題範囲を受験者に周知することも求めた。
1・2級合格者を対象とする登録経理講習の普及促進も求めた。登録経理講習では、企業コンプライアンスや法令についての知識を学べるため、受講した登録建設業経理士は企業経営をサポートする人材になり得るとみている。eラーニングの導入などで、より多くの合格者が受講できる環境を整え、受講を義務化することも検討する。
さらに、講習を受講した登録建設業経理士と建設業経理士との経営事項審査における加点を差別化する必要性についても指摘した。
全国建設業協会や都道府県建設業協会との連携を強化し、検定制度の普及を促進することも提言。振興基金に対し、一部の協会で開催する2級準備講座を側面支援することも求めた。工業高校生らを対象とする3級・4級の特別研修の普及拡大も図るよう促した。
提供:建通新聞社