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2019/05/20

高力ボルト需給安定化へ 発注様式を統一

 国土交通省は5月17日、全国的に品薄感の続く高力ボルトの需給安定化に向けた対策をまとめ、主要な元請けや鉄骨ファブリケーターの関連団体に協力を要請した。同省は需給がひっ迫する状況が実需に基づかない市場の混乱による『一時的な現象』だと分析し、重複した発注や納入先が不明確な発注を避ける、業界統一の「発注様式」を作成。この様式を流通業者(商社、問屋、特約店)が使用することで、不確定要素の高い発注を抑制するとしている。
 土地・建設産業局長名の通知を▽全国建設業協会▽全国中小建設業協会▽建設産業専門団体連合会▽日本橋梁建設協会▽プレハブ建築協会▽日本建設業経営協会▽日本建設業連合会▽鉄骨建設業協会▽全国鐵構工業協会―の9団体に送った。
 今年3月に高力ボルトの供給側・需要側に行った調査で、昨年よりも需給動向が悪化し、納期の長期化に伴う工期への影響も拡大していることを確認。「このままの状況が続くと経済の足を引っ張りかねない」(建設市場整備課労働資材対策室)として、資材の流通にまで踏み込んだ異例の対策を講じる。
 同省によると、鉄骨需要から推定した高力ボルトの需要量はひっ迫するほどの状況になく、納期の長期化も流通業者が在庫販売を受注販売に切り替えたために発生していると見られる。需要側は、自衛の手段として受注が確定していない段階の先行発注、水増し・重複発注を行い、実需以上に注文が殺到しているという。
 国交省は、こうした仮の需要で発生する注文を抑制するため、鉄骨ファブリケーターなどの需要側の意見を踏まえて業界統一の発注様式を作成した。この様式は、流通業者がボルトメーカーに対して使用するもので、発注元の鉄骨ファブリケーターの工事情報(工事分野、納期など)とともに、「見積もり依頼」か「正式発注」であることを明確に記載。
 この様式で注文を受けたメーカーは必要な時期・数量を正確に把握でき、実需に基づく生産が可能になる。当面の間の対応として、納期が決定している案件の生産を原則として優先する。
 国交省が需要側である元請けや鉄骨ファブリケーターに協力を呼び掛けるとともに、ボルトメーカーも取引先の流通業者にこの様式を使用するようすでに申し入れている。また、同省は高力ボルトの需要量自体が変化している可能性もあるとして、実需を把握するための調査も改めて実施する方針だ。

提供:建通新聞社