国土交通省は、直轄の維持工事(道路巡回、清掃、除草、舗装の補修など)の積算と入札契約方式を改善する。2019年度に試行する週休2日交替制モデル工事で、維持工事に交替制を導入するための課題を検証。休日出勤に対する割増賃金も発注者が負担するなど、受注者側の採算性の向上と負担軽減を図る。平常時と災害時のインフラを支える体制を一体で確保するため、災害協定を結んだ企業への入札時の加点を高めたり、協定締結を参加要件とする入札も一部の事務所で試行する。
維持工事は、夜間工事と昼間工事の調整や休暇取得の調整が難しく、現場に従事する技術者・技能者の負担が重い。24時間・365日の対応を求められるものもあり、国交省は交替制で働き方改革の実現と現場の負担軽減を図りたい考え。
このため、維持工事(通年)や災害復旧工事など、休日確保が困難な工事を対象とする週休2日交替制モデル工事を19年度に試行。通常の週休2日工事に適用している補正係数は現場閉所が条件だが、技術者・技能者の平均休日数が4週6休以上であれば、労務費を補正する。
モデル工事の中で、休日確保の確認方法、発注者が負担すべき経費などを検証し、維持工事の受注者が交替制を導入しやすい環境を整える。維持工事では、災害時などに休日返上で対応が求められることもあるため、休日出勤の割増賃金も支払う方向で検討する。
この他、遠隔地から労働者を確保する際、追加で必要となる間接費(赴任旅費、宿泊費など)について、特記仕様書に事後精算で対応することを明記し、採算性が低いことを要因とする入札不調・不落を抑制する。
維持工事に対する受注意欲を高めたり、継続性・人材育成に配慮するため、入札契約方式の選択肢も増やす。維持工事は1者応札が多く、技術競争が起きにくい特徴がある。同じ特徴を持つ災害協定との一体化も視野に、一部の事務所で20年度の契約分で新たな入札契約方式を試行する。
具体的には、維持工事の入札時に災害協定を締結した企業に与えている加点措置の幅を拡大することに加え、事務所と災害協定を結んでいることを参加要件にすることを検討。参加要件にする場合には、災害協定を締結した企業を参加者とする指名競争入札や随意契約で、維持工事の受注者を選定する。
提供:建通新聞社