国土交通省は5月15日、建設業団体や民間発注者団体などが参加する「建設業社会保険推進・処遇改善連絡協議会」の2回目の会合を開き、2019年度の「重点課題」を提示した。この中で同省は、社会保険加入や罰則付き残業規制といった規制逃れ≠目的とした一人親方化の抑制に取り組む姿勢を強調。法定福利費の適正な支払いを徹底するため、公共工事における数値目標を設定する考えも示した。
協議会は、「建設業社会保険推進連絡協議会」を改組し、社会保険加入と処遇改善に取り組むため、昨年6月に発足した。15日の会合では、19年度に検討する「重点課題」を提示し、年末までに対策をまとめる方針を示した。
社会保険加入対策をめぐっては、建設業法を改正して加入を建設業許可の要件とすることに伴い、社会保険料の負担を逃れるための一人親方化が懸念されている。社会保険だけでなく、罰則付き残業規制の適用、有給取得の義務化など、働き方改革関連法の施行に伴う規制の強化も、こうした流れに拍車をかける恐れがある。
規制を逃れるため、技能者を一人親方として使用する企業の動きを把握し、一人親方化を抑制する実効性のある対策を検討する。また、「専門工事企業の施工能力の見える化」(企業評価制度)で、技能者の自社雇用や教育・処遇改善に取り組む企業の評価を高める。
一方、社会保険料の原資となる法定福利費が適正に支払われるよう、法定福利費が内訳明示された見積書と請負代金内訳書の活用も徹底する。特に活用が遅れている市区町村の発注工事や民間工事、元請け・下請け間、下請け・下請け間への対策を講じる。
公共工事については、法定福利費の内訳明示に関する数値目標・目標年度も設定する。公共事業労務費調査で、個別工事における内訳明示の状況を把握し、目標の達成状況をフォローアップする。
提供:建通新聞社