国土交通省は、「指し値発注」や「支払い遅延」といった元請けの法令違反を通報した下請けへの報復を禁止する。下請けが許可行政庁などに通報したことを理由に、取引の停止をはじめとする報復行為に及んだ元請けに対し、公正取引委員会に独占禁止法に基づく措置を講じるよう、請求できるようにする。
開会中の通常国会に提出された建設業法等改正案に「不利益取り扱いの禁止」として新たな規定(第24条の5)を設けた。下請け法には同様の規定があるが、現行の建設業法に元請けの報復行為を禁止する規定はない。
総務省が建設業1070社に行った調査によると、元請けから▽書面契約▽着工前の契約締結▽指し値発注▽工期変更に伴う費用負担▽下請け代金の支払い遅延―といった違反行為を受けたことがある下請けは、全体の43・4%に上った。
一方、元請けからの報復のリスクがあるため、「駆け込みホットライン」などに相談できないといった声もあり、総務省は昨年8月、国交省に改善を求める勧告を行っていた。
建設業法改正案では、指し値発注や支払い遅延などの違反行為を受け、許可行政庁や中小企業庁、公取委に通報した下請けを対象に、元請けからの報告行為を防止する規定を設けた。許可行政庁は、元請けの報復行為を確認した場合、建設業法に基づく行政処分に加え、さらに重い独禁法に基づく措置を講じるよう、公取委に請求できるようにする。
提供:建通新聞社